陸中大橋駅(釜石線)

 鉄道模型ファンの伝説の本の一つに「シーナリィガイド」という名の本があります。昭和49年刊行の本ですから、中は昭和40年代の鉄道風景が中心となっています。

 そんな本の中で釜石線の陸中大橋駅が紹介されていましたが、駅構内に横たわる大きなホッパーと賑わう広大な駅構内がとても印象的でした。そして調べてみると貨物輸送こそ終了していますが、現在もホッパーのコンクリート部分は残っているとのこと。これはもう行くしかないということで、行ってきました。

 釜石は鉄鋼の町でこの駅では鉄鋼石の積み込みが行われていました。現在は鉱山も閉山、本で見た写真は50年前のもので既に駅舎も無くなっていますが、事前の情報通り巨大なホッパーのコンクリート部分はしっかり残っていました。

 これがホッパーの跡です。上側にはトタンの上屋があり採掘された鉄鉱石はこの上に貯蔵されていました。そしてこのホッパー下にもレールが敷かれ、鉄鉱石を積む貨車を入線させていました。鉄鉱石を積むときは上側から貨車に対しバラバラと落下させて積み込む感じです。

 現在もローカル線として細々として営業を続けていますが、かつては鉄鋼の街、釜石を支えていた重要な駅でした。しかしそんな最盛期の頃を感じさせてくれるホッパー跡が残っているのは奇跡であり、同時に有難いことと旅行者としては感謝するのです。

 現在、この駅に来る列車は1日8往復です。最近ローカル線では合理化の為分岐器を外して駅を棒線化、停留所化する動きがありますが、この駅では7:14、16:20の2回列車交換が行われますので、分岐や信号も残って駅として存在しています。

 上有住駅側にも小さなホッパーが残っています。看板が無い分こちらの方が当時感が残っている気がします。

 またこの駅はループでも有名で、左のトンネルが本線ですが、大きく左にカーブしながらトンネルに進入する感じです。そしてトンネルの中を駅前広場から見える山の中腹まで上り詰めます。駅を抜けると急カーブで方向を変え、駅前に線路が通る姿はまるで鉄道模型の様です。

ホームにあった駅名票

 広大な広さを誇る駅構内、かつてここが街の産業の中心であった証です。

住所 岩手県釜石市甲子町第1地割
ホームページ 陸中大橋駅の時刻表
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