足尾のシックナー、生きている!?

 鉱山にはシックナーと呼ばれる円形状の構造物があります。足尾にも銅を産出する足尾銅山がありましたから、現在もシックナーが現存します。今回は通洞駅から少し遠いものの歩いて行けるシックナーの存在を知ったので、見に行ってみました。

 これから写真を交えてレポートしていきますが、想像以上に良かったです。

 銅街道から住宅地へ向かって山を登っていく様な感じとなります。車での進入は可能ですが、駐車は不可能ですので車で来た人は対策を考える必要があります。

 歩いて数分でシックナーが見える場所に到着します。こちらは既に使われなくなったシックナーで内部には木が生い茂っていました。

 鉱山系のスポットに行くと見かけることが多いシックナーですが、ここは詳細に説明するほどの知識を持ち合わせていません。

 ここ足尾銅山なら岩石に含まれる銅を得る分離作業時に水を使うのですが、その排水時に水と岩石の屑、銅を分離する装置の様です。私的には泥水をバケツの中に溜めておくと綺麗な水と泥に分離されますが、これをもっと高い水準で大規模に行う装置と解釈しています。

 まずは構造物の規模の大きさに驚いているところですが、もっと驚くのは下側(道路側)のシックナーは水が張られています。ひょっとしてまだ生きているシックナーでしょうか。

 緑色の液体がなみなみと張られています。雨水ではこうはならないでしょう、やはり生きていそうです。

 上(山)側のシックナーに近い場所からは中才鉱山住宅の屋根が見られます。

 以前夕張を訪れた時、観光に力を入れている地元の方からこんな話を聞きました。「見知らぬ人がまだ人が住んでいる団地をパシャパシャ撮影していくことに住んでいる人が困惑している。ズリ山に登って上から撮影して貰えば昔の炭住街らしい良い写真が撮れるし、住民もストレス抱えずに済むのですけどね。」といったニュアンスの話です。

 自分に置き換え映画ロケで前の道路が使われたとかで、見知らぬ人に自分の家を撮られるのを想像するとあまり良い気分はしません。「なるほど」と思い以降は少し離れた場所からこんな写真を主に撮っています。

 少し話が脱線してしまいましたが、それではその生きているシックナーを見ていきたいと思います。分離したい液体はこのパイプで山側から送られてくるようです。

 このパイプは先程登ってきた道路をまたぐ形で設置されています。こんな所も工場らしく格好いい雰囲気を醸し出しています。

 反対側から見るとこんな感じで設置されています。かつて最盛期は上側の枯れたシックナーにもパイプが通っておりなみなみと液体が満たされていたのでしょう。

 生きている証がここにもあります。注水口近くへ登る階段は南京錠で施錠されていますが、艶のある新しい南京錠です。また階段最上部の少し上にはスタイリッシュな今時の防犯カメラも見られます。きっちり管理されている=現役だと思えます。

 下側には扉もあります。堆積した泥を取り出したり、攪拌する機器のメンテの為にあるのではないでしょうか。

 通りに面した近くには古河機械金属の工場の門がありました。関係者以外立入禁止ですが、この奥にも大小のシックナーが並んでいます。下の地図を航空写真モードにしてみると、この一帯にはシックナーが点在しているのが分かります。

 また橋脚と橋脚の間が入口になっており、門があるというのも構造的に面白く、鉄道模型のアイデアにも使えそうです。

 炭坑の遺構などを見ると廃墟と化したシックナーを見ることはありますが、生きているシックナーを見れたのは初めてでしたので、これだけでもここに来た価値があります。また鉄道模型のレイアウト(ジオラマ)にシックナーを設置したいと思っていたのですが、実物の大きさも体感できたのでこれも◎な体験でした。

住所 〒321-1522 栃木県日光市足尾町中才5
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