小湊鐵道(後編)

小湊鐵道(後編)

2022年1月1日 オフ 投稿者: dollman

 小湊鐵道の魅力は単線区間でタブレットの交換があることですが、タブレット交換をする為には駅員も配置されていなければなりません。里見駅には駅員が常駐し、一連の列車出発の際の儀式を見ることが出来ますので一緒に見ていきたいと思います。

 左が五井、上総牛久方面から我々が乗ってきた下り列車です。右のヘッドライトを点灯させた列車はこれから上総牛久へ向かう上り列車です。里見-上総中野間は単線ですから無秩序に下り列車を出発させると上り列車と正面衝突を起こします。

 そこで「この区間を走る列車は一つしか無い通行手形を持っていないと走ることが出来ない」というルールを決めてこの区間を走る列車を1列車に限定しています。そうすることにより正面衝突や追突を防ぐことが出来ます。その一つしかない通行手形をタブレットと呼んでいます。

 列車に停止の合図を送る駅長(助役)です。この駅には信号を設置していませんので列車の停止、出発を指示する権限は駅長(助役)に委ねられています。無人駅ですと運転士の権限で停車、出発しますが、昔は全て駅長の権限でした。こんな何気ないシーンも今は他所で見ることが出来ない昔の鉄道風景なのです。

 上り列車の運転士が輪っか状のものを渡していますが、これが「タブレット」です。上総中野-里見間は走行を終えたので通行手形を返納し、代わりに里見-上総牛久間の通行手形である「タブレット」を受け取ります。駅長(助役)が肩にかけている輪っかがこれからの区間で必要になる「タブレット」です。

 そして駅長(助役)は今受け取った里見-上総中野用の「タブレット」を出発を待っている上総中野行きの下り列車に渡して出発させる訳です。

 駅長の出発合図で列車は上総牛久を目指して出発します。

 ところでこの列車には写真の通り車掌が乗務していますが、小湊鐵道では全列車に車掌が乗務しています。他のローカル線ではこの様な1両編成の列車の場合ワンマンかが行われていますが、恐らく自動閉塞という信号機による電気的な安全装置が無い為と思われます。

 車掌の業務には扉の開閉、案内放送、無人駅での運賃の授受などがあると思いますが、一番大切な業務は万一の時の列車防護だと思います。万一列車が立ち往生した時、都市部の様に高度に自動化された信号システムがあれば電気的に全列車を停止させられますので車掌不在、あるいはそれを超え自動運転などを行っている鉄道もあります。

 しかし自動閉塞を導入していない小湊鐵道では万一列車が立ち往生した時運転士は正面衝突を避ける為に前側の列車防護を、車掌は追突を防ぐ為に後方の列車を行います。その為1列車に2名以上の人員が必要になります。

 もっとも先程解説した「タブレット」による管理(閉塞)がきっちり行われていれば列車の追突、正面衝突は全く起こらない訳ですが、鉄道は公共交通機関ですので二重、三重の安全策がとられています。

 この様に上総牛久-上総中野間で自動閉塞が導入されていない為に奇跡的に昭和の鉄道風景が残されている小湊鐵道ですが、途中の無人駅にも情緒がありますし、踏切警報機のいくつかは現在の電子音ではなく電鈴が鳴るものも数多く残っています。

 鉄道そのものが見所の小湊鐵道です。

 五井駅から1時間20分程で終点の上総中野駅に到着です。「房総横断記念乗車券」を使えば普通に切符を買うより少しお得に大原に行けますので是非いすみ鉄道も訪れてみましょう。外房線の大原まで房総半島を横断する感じになります。

 そのまま折り返さずいすみ鉄道に乗り続けることをオススメする理由に列車の乗り比べがあります。いすみ鉄道の車両は平成製造の新型気動車です。乗り心地、加速など戦前から続くDMH17エンジンの車両と乗り比べてみてください。どちらが良い悪いではなく気動車の進歩を肌で感じられます。

 また前編の冒頭で書きましたが、いすみ鉄道にもキハ200を2エンジンにした様なキハ52、キハ28などDMH17エンジンを搭載した気動車も残っています。しかしこれらはイベント用で一般の営業運転には入っていないようです。

 またいすみ鉄道には新型気動車の見た目だけをキハ20にしたキハ20もどきも走っています。もどきと言っても形式は立派な「キハ20」です。こちらも登場から時間が経ち風格が出てきましたので、機会があれば乗ってみたいものです。