幻の国鉄車両 レビュー

 今日はこんな本をご紹介したいと思います。その名も「幻の国鉄車両」、タイトル通り設計図だけで終わった車両、試作の1両だけで終わった車両などが掲載されています。ネタ的な車両を多くリリースするマイ○ロエース開発の人なども読んでいそうな一冊です。価格は2530円と少々値が張りますが、まだ鉄道の地位が高く、また様々な可能性も多く残されていた国鉄時代の技術陣の熱意や夢に触れることが出来ます。

 今日の通勤電車やNDCなどは色を抜いてしまうと画一的でどこの線区か車両か分からなくなってしまいそうですが、この時代の車両は個性的で面白いものです。ある意味古き良き時代の昭和パワーが詰まった一冊です。

 入換用のDD20,DD21のページです。DD13ディーゼル機関車は前後対称の凸型機ですが、DD20の1号機はDD51の片側半分を切り落としたような姿をしていました。しかし2号機jはDDですが、DE10の様な前後非対称の凸型機となりました。

 軸重が13.5tとそこそこ重いのでローカル線に入線出来ない路線がある反面、軸重14tのDD13形に比べて軸重が軽い分入換作業時に空転しやすいという中途半端なスペックの為3号機以降の生産は見送られました。

 しかし2号機の前後非対称な凸型のデザインはDE10の開発に生かされ、そのDE10は入換、支線区での牽引機として長きにわたり生産され、現在も活躍しているのでこの機関車の設計、誕生は非常に大きな意味があったということが出来るのではないでしょうか。

 部屋にあった余ったDD51のボディを鉄コレの動力ユニットに乗せてみました。「後ろ側の妻面をどうする?」という問題はありますが、細かいことを言わず「タイプ」として自作するなら基本的な考え方はこれで良さそうです。

 DD20-2はDE10と雰囲気が似ていますので個性の強いDD20-1の方がおもしろそうです。ネットで画像検索してみると少ないながらも写真は出てきますので資料も何とかなりそうです。

 国鉄のガスタービン車というとキハ391系が有名ですが、実際の研究は30年に渡り行われていたようです。 ガスタービン車は結局実用化されませんでしたが、また何かの折にこの時のデータが生きてくるのかもしれません。

 ディーゼル機関車も当時は「液体式>電気式」という評価でしたが、現在のコンパクトなシステムを電車で作れるJR東の考えは少し違うようです。電気式の方が電車のノウハウを生かしたり電車と部品を共用化出来るメリットもあると変わってきた様です。

 そして横軽を自走して走る187系、国鉄の財政難やグリーン車の余剰という当時の世相も感じることが出来る記事です。結局営業運転では最後までEF63の補機が必要だった碓氷峠でしたが、やはり粘着運転での補機無しは悲願だった様で、何度か試験運転もされていました。

 もしこの試験の結果が営業運転に反映され補機が不要となっていれば、しなの鉄道の終点は軽井沢ではなく横川だったかもしれませんね。

 他にも幻の広軌化、原子力機関車みたいな夢の話から始まり、寝台急行電車、今では当たり前の近郊型の4扉、ステンレス気動車などの記事があります。またJR貨物で実現した電車輸送のコンテナなんかも昭和時代に既に青写真があったのは驚きで、まさに国鉄技術陣の夢の結晶という感じの一冊でした。


幻の国鉄車両(JTBキャンブックス)

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